- 使わないと止まるのは故障なの?
- 止まった場合の対処法を知りたい
久々に腕時計を使おうと思っても、動きが止まっていると「修理が必要なのかな?」と疑問を感じる方は多いです。しかし、対処法さえ理解しておけば修理しなくても再び動く可能性が高いです。
この記事を書いた人

おその
時計屋歴9年
- 時計店で9年以上勤務
- 毎日10本以上の腕時計に触れ、電池交換や修理に対応
- セイコー・シチズン・カシオなど国産腕時計の知識が豊富
- 初心者にもわかりやすく解説するのがモットー
この記事では、腕時計を使わないと止まる理由を3つのタイプ別に解説します。記事を読めば、高額な修理費用をかけることなく直せます。

腕時計を長く使うための、日頃からできるケア方法についても紹介しているので、ぜひ参考にしてください!
【タイプ別】腕時計を使わないと止まる3つの理由


タイプ別に、腕時計を使わないと止まる理由を3つ解説します。まずはご自身の腕時計が、以下のどのタイプに当てはまるか確認しましょう。
タイプ | 特徴 | 見分け方 |
機械式 | ゼンマイがほどける力を利用して動く | 文字板または裏蓋に「Automatic」と記載されている/秒針がスーッと滑らかに動く |
ソーラー充電 | ソーラー用の電池に光を蓄えて動く | 文字板または裏蓋に「Solar」や「Eco-Drive」、「Tough Solar」といった記載がある/光を当てると動き出す |
電池式(クォーツ) | 電池を動力源として動く | 文字板または裏蓋に「Quartz」と記載がある/りゅうずを巻いても光を当てても動かない |
【機械式】ゼンマイが巻かれていなくて止まる
機械式時計は、ゼンマイが巻かれていない状態だと止まります。十分にりゅうずを回したとしても、使わなければ2日程度で動きが止まるのが一般的です。
「休日しか使わない」といった方は、使うたびにゼンマイを巻き上げて手動で時刻を合わせる必要があります。毎日使う方であれば問題ありませんが、たまに使用する方には少し手間のかかる腕時計と言えます。しかし昔ながらの構造で味があるため、時計好きに親しまれているタイプです。
【ソーラー】充電切れで止まる
ソーラー時計をお使いの方は、充電がなくなって止まった可能性が考えられます。ずっと暗いところで保管していたり、光が当たりづらい環境で使用していたりする場合は、充電不足になっていることも多いです。
モデルにもよりますが、ソーラー時計は充電がしっかりされている状態であれば、半年くらいは暗闇でも動く仕組みになっています。しかし、光を当てない期間が長くなると充電が切れて止まってしまいます。
【電池式(クォーツ)】電池切れで止まる
電池式(クォーツ)の腕時計の場合、当然ですが電池の残量が無くなれば止まってしまいます。腕時計のブランドやシリーズにもよりますが、一般的なアナログ時計は2〜3年程度で止まります。
ただし10年以上メンテナンスしていない腕時計は、内部の油が古くなり劣化しているため、電池が2年持たないケースも多いです。なお、モデルによっては10年くらい電池が持つ機種も存在するため、お手元に取扱説明書があれば確認してみましょう。
【タイプ別】腕時計が止まるときの対処法


腕時計が止まったときのタイプ別の対処法を理解しておけば、修理しなくても再び使える可能性があります。
【機械式】ゼンマイを巻き上げる
機械式時計であれば、まずはりゅうずを回してみてください。また、最近の機械式時計であれば自動巻き機能もセットになっています。



自動巻きとは、腕に着用しているだけで自動でゼンマイが巻き上がる機能のことです!
わざわざりゅうずを巻かなくても勝手に動いてくれるので、巻く手間を省けます。
りゅうずを回してゼンマイを巻く場合、巻き上げ回数は40回程度が目安です。少ないとすぐに止まってしまいますし、巻きすぎるとゼンマイ切れに繋がるため、回数は守るようにしましょう。
【ソーラー】1週間充電する
ソーラーの腕時計の場合、充電することで復活する可能性が高いです。光による充電が足りていないだけなので、光を当てればいつも通り使えるようになります。
完全に止まっているなら、1週間程度は光を当て続ける必要があります。直射日光が一番充電するのに適しています。ただし、冬場などで日照時間が少ない場合、スタンドライトや勉強机のライトを近づけて充電することも効果的です。
充電する際の注意点として、夏場の車内で光を当てることは避けてください。充電自体は溜まりますが、時計本体の温度が上がりすぎて故障するリスクがあります。なるべく家の窓際で充電することを心掛けましょう。
【電池式(クォーツ)】新しい電池に交換する
電池式(クォーツ)の腕時計であれば、まずは電池交換を依頼してみてください。ほとんどの場合は電池交換することで動くようになります。
大半の時計店では、店頭で電池交換を行ってくれます。金額の相場は1,000円〜2,000円くらいが一般的ですが、高級ブランドの腕時計の場合は2,000円以上かかるケースもあるでしょう。
店頭で電池交換を依頼する場合、防水検査ができないお店も多いので注意が必要です。普段から水がかかったり、ガラスに曇りが出たりすることが心配な方は、メーカーでの電池交換をオススメします。店頭での電池交換より費用はかかりますが、安心して腕時計を使えます。
対処法を試しても止まる場合に考えられる4つのこと


タイプ別の対処法を試しても止まっている場合は、以下の4つのことが考えられます。
- 磁気を帯びている
- りゅうずが上がっている
- 針が引っかかっている
- オーバーホールが必要な状態である
磁気を帯びている
腕時計が磁気を帯びている場合、止まったり動いたりします。あまりに強い磁気を帯びている場合は、故障に繋がるリスクもあるため日頃から気をつけることが大切です。



磁気帯びとは、内部の機械が磁石の影響により不具合を起こす現象のことです!
以下の製品は磁気帯びする原因なので、近づけないように意識してください。
- スマートフォン
- テレビ
- パソコン
- スピーカー
- 家電製品
- 医療機器
- 磁気ブレスレット など
腕時計のなかには「耐磁時計(磁気に耐えられる時計)」も販売されています。しかし完全に磁気に耐えられるわけではないため、なるべく避けて使用することが賢明です。
りゅうずが上がっている
電池式、ソーラー時計、機械式時計のすべてに言えることですが、りゅうず(時間合わせするつまみ)が上がっていると、アナログ時計は止まってしまいます。突起があって引っ掛かりやすい部品のため、カバンなどに入れていると知らない間にりゅうずが上がっていることもあります。
引用元:りゅうずの歴史|CITIZEN
実際に店頭に来られるお客さんのなかにも、電池交換かと思ってご来店されたら、りゅうずが上がっていただけということも多いです。りゅうずを下げれば通常通り使えることもあるので、りゅうずが上がっているかどうかも確認しておきましょう。
針が引っかかっている
針がゆるんで引っかかっている場合も、腕時計が止まっているように見えます。ぶつけたり落下させたりした衝撃によって針はゆるみます。


針がゆるんでいるか確認する方法は、腕時計を上下左右に様々な角度に揺らすことです。傾けたときに針がグラついたらゆるんでいるということです。メーカーで修理するか、時計屋さんでも対応してくれるお店があるので、一度見てもらいましょう。
オーバーホールが必要な状態である
どのような対処法を試しても動かない、またはすぐ止まる場合は、オーバーホールが必要な状態である可能性が高いです。機械内部の部品の破損や、油切れによって正常に動かない状態になっています。



オーバーホールとは、機械を分解・洗浄し、点検や破損部品の交換を行って、新品のときに戻すメンテナンス方法のことです!
オーバーホールの金額はブランドによって異なります。セイコーやシチズンの国産ウォッチであれば1〜3万円程度で修理できます。ロレックスやオメガといった海外の高級時計は10万円を超えることが一般的です。
腕時計を止まらせないための5つのケア方法


腕時計が止まらないようにするには、普段からケアすることが大切です。5つのケア方法を理解しておくことで、腕時計を長く使えます。
【機械式】使わなくても適度にゼンマイを巻く
機械式時計は、使わなくても適度にゼンマイを巻くことがオススメです。動かしておくことで、機械の油劣化を防いでくれる効果があります。
数本所持している方は、日替わりで着用することで止まる状態を阻止できます。たまにしか腕時計を着けない場合は、「ワインディングマシーン(自動巻き上げ機)」と呼ばれる専用ボックスに収納する方法もあるので、チェックしてみてください。
【ソーラー】使わないときは明るい場所に置いておく
ソーラー時計をお持ちの方は、使わないときは明るい場所に置いておくと止まりづらいです。充電が減ることで止まるので、日頃から光を当てておけば使いたいときにすぐ利用できます。
ソーラー時計の充電時間の目安は月2〜3回程度、半日ほど日光の当たる窓際に置いておくことです。一度止まると1週間光を当て続けないとフル充電にならないため、日常的に光を当てると手間が減ります。
【電池式(クォーツ)】止まっていなくても電池交換する
腕時計の電池寿命が過ぎている場合は、止まっていなくても電池交換することをオススメします。腕時計の電池寿命が2〜3年程度であるのにもかかわらず、4年や5年動き続ける時計もあります。
時計自体は動いていても、電池寿命を過ぎた電池からは「液漏れ」することが多いです。電池から漏れた液体が機械内部に入ってしまうことで、「新しい電池を入れても動かない」といった原因になります。


そのため、ご自身の腕時計の電池寿命を確認し、動いていても期限を迎えそうなタイミングであれば電池交換することがベストです。
高温・多湿な場所での保管は避ける
すべての腕時計に共通することですが、高温・多湿な場所での保管は避けるのが賢明です。高温・多湿な環境での保管は、ケースやベルトだけでなく、内部の機械にもサビや腐食といった影響を及ぼす可能性があります。
理想は風通しが良くて、湿気の少ない場所での保管です。また専用の腕時計ケースに入れることで、湿気だけでなく傷を防ぐこともできます。安いもので2,000円台から販売されているので、気になる方はチェックしましょう。
定期的なメンテナンスを心がける
どのような高級時計であっても、いずれはメンテナンス(オーバーホール)が必要です。定期的にメンテナンスすることで、不具合箇所を早期発見でき、修理代が高くなることを防げます。
メーカーは4〜5年ごとのメンテナンスを推奨しています。ただし使わずに止まったままにした腕時計は、機械の油が劣化している可能性があるため、メンテナンスする時期が早まるでしょう。
購入から年数の経過した腕時計は、メーカーに部品が残っていなかったり、割り増し料金になるケースもあります。「大切な時計だから長く使いたい」と考えている方は、早めのメンテナンスを心がけてください。
まとめ:腕時計を止まったまま放置すると故障の原因になる
腕時計を使わないと止まる理由と対処法は、以下のタイプごとに異なります。
- 機械式→ゼンマイの巻き不足
- ソーラー→充電不足
- 電池式→電池切れ
腕時計を止まったまま放置すると、機械の油が劣化して故障が早まります。腕時計を長く使うためには、止まっている時間をなるべく減らし、常に動かしておくことです。
なお、タイプごとの対処法を試しても正常に動かないのであれば、磁気の影響や針のゆるみも考えられます。その場合、時計店またはメーカーでの修理が必要です。
修理費用が高額になる前に、早めのメンテナンスを心がけるのがオススメです。
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